皮膚科学会のガイドラインによると治療の最終目標(ゴール)は,症状がないか,あっても軽微で,日常生活に支障がなく,薬物療法もあまり必要としない状態に到達し,それを維持することとされています。まずは、なるべくすみやかに寛解(皮疹がおちついた状態:寛解導入)にもっていき、その後はそれを維持していくプロアクテイブ療法を行っていきます。
•外用薬による治療が基本です。乾燥した皮膚を補う保湿剤や、炎症を抑えるステロイド剤やタクロリムス(商品名プロトピック軟膏)、また2020年に発売されたデルゴシチニブ軟膏(商品名コレクチム軟膏)、2021年に発売されたジファミラスト軟膏(商品名モイゼルト軟膏)などの外用薬を用いていきます。外用薬は、年齢や部位・炎症の強さなどによって薬の種類をかえていく必要があります。また、同じ薬を処方しても、適切な塗り方や量で使用しないと、十分な効果が期待できないことがあります。寛解(皮疹がおちついた状態)にもっていくために、当院では、皮膚科学会認定 皮膚疾患ケア看護師を始めとする熟練したスタッフにより適切なスキンケアの方法を指導させていただき、治療効果を高めるサポートをしてきます。寛解後は、よい状態を維持していくためのプロアクテイブ療法を行っていきます。
・症状によってはかゆみ止め作用がある内服薬の処方や紫外線治療を併用することもあります。
・外用薬に反応しない中等症〜重症アトピー性皮膚炎の場合は免疫抑制剤(シクロスポリン:商品名ネオーラル)の内服や自己注射薬(デュピルマブ:商品名デュピクセント)、JAK阻害剤(バリシチニブ:商品名オルミエント、ウパダシチニブ:商品名リンヴォック、アブロシチニブ:商品名サイバインコ)の内服などの全身療法を行っていく場合もあります。
※2018年4月より発売された注射薬デュピルマブは患者さまご自身が自宅で2週間に一度、自己注射していただき、2、3ヶ月に一度受診していただく治療法です。15歳以上が適応となっておりましたが、2023年9月より生後6ヶ月からの小児にも使用できるようになりました。保護者の方あるいはご自身によるご自宅での注射が可能ですが、ご不安な方は院内で医師が注射を行っていくことも可能です。JAK阻害剤(ウパダシチニブ:商品名リンヴォック、アブロシチニブ:商品名サイバインコ)は12歳から適応となります。